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イシュー・コミュニケーション

イシュー・コミュニケーション(イシュー・ブランディング)というのは、自社の商品や
サービスが解決しうるニーズや問題(イシュー)をまず世間に提起し、商品や企業
活動のブランディングにつなげていくというPR戦略です。

新たなイシューを社会に投げかけ、あるべき姿と現状の事実のギャップに気付か
せて、その商品・サービスが解決できる問題を浮き彫りにし、世の中に啓発するこ
とで、消費者がそれを「買う理由」を作っていく。商品自体を売り込むよりも、結果と
して企業の認知度や売上アップを図っていく。これがイシュー・コミュニケーション
の目的です。

大手メーカーが「お腹の周りが○○センチを超えたらメタボ予備軍です」と宣伝して
運動器具や健康食品を販売したり、「古い機種を使い続けるより省エネ型の新製品
に買い換えるほうがエコロジーです」と訴えて、自動車や家電の買い替えを推奨し
ていますが、これらも、イシュー・コミュニケーションのひとつといえるわけですね。

中小企業の中にも、こうしたイシュー・コミュニケーションをPR活動に生かしている
例があります。

福井県・若狭の塗り箸メーカー「兵左衛門」。同社は、私たちが日ごろ何気なく使っ
ている「お箸」に関する意外な問題点を、様々な切り口から提起して、啓蒙活動や
話題づくりにつなげています。

まず、100%自然素材の漆を塗った上質な箸を製造している同社は、「お箸は食べ
物である」という観点から、有害な化学塗料が使われた箸の危険性を指摘し、健康
な生活のために、口に入れても安全な箸を選択する必要性を訴えています。

続いて、「日本人の7割が箸をうまく持てない」ということに着目し、「お箸を上手く使
うことは手を器用に動かすことであり、脳の発達にも影響する」として、全国の幼稚
園や小学校などで「お箸の知育教室」を開催しています。この「箸育」の取り組みは、
今話題となっている「マイ箸運動」にもつながっています。

さらに、プロ野球選手などが使って折れた木製バットを回収し、箸として再生するこ
とで省資源化をはかると同時に、売上の一部をバットの原料となるアオダモの植樹
に寄付するという環境への取り組みを行っています。

「口に入れる箸の先が化学物質でいいのか」「日本人はなぜ箸をうまく使えなくては
ならないのか」「折れたバットを捨てるのは資源の無駄使いではないのか」・・・健康・
文化・環境など、日本人が関心を持つ事象にフォーカスを当て、自社の商品と関連
付けた問題を提起する。そして、その問題の解決に、自社がどう取り組んでいるか
ということを積極的に情報発信しています。

そして、これらの取り組みは様々なメディアで何度も取り上げられ、同社のブランド
力アップと商品の販売促進につながっているのです。

私が思うに、兵左衛門さんの商品や取り組みそのものよりも、優れているのはテーマ
設定のうまさというか、社会的な関心を集める問題点を見つけ出す、感性の鋭さだと
思います。こうした取り組みがなければ、同社も単なる伝統工芸品メーカーにとどま
っていたかも知れません。同社はイシュー・コミュニケーションによって、福井県の一
地方企業から全国ブランド、世界ブランドへと飛躍しようとしているわけです。

イシュー・コミュニケーションは、問題提起⇒情報発信⇒報道⇒認識⇒納得・共感⇒
意識・行動の変化、という流れです。社会に対して問題を投げかけ、消費者の意識を
変え、購買に向かわせる。

このようなマーケティング戦略は、地方の中小企業でも十分展開できると思います。

投稿者 prism : 2009年04月28日 22:18

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