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金はないけど愛はある

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「パパヤ パパパヤ 負の遺産~
残ったものはメロンと負債~
金はないけど愛はある~」

この歌をご存知の方は相当マニアックな人、または、テレビのワイドショーを
相当見ている人ですね。

この曲は、漫才師の島田夫妻が歌う「愛の始発駅~夕張夫妻のうた」といって、
昨年財政破綻した北海道の夕張市を元気付けようと、ある広告制作会社が
“タダで”展開している夕張市の観光キャンペーンのテーマソングです。
ま、いちど聞いてみてくださいな。
  
http://www.youtube.com/watch?v=E-_ETYBCppw&NR=1

夕張市の巨大な負債を「夫妻」とかけて、ふたりの名前も「夕張とうさん(倒産)」
「夕張真っか(赤)あさん」。着てる服はつぎはぎのボロボロ。毎日リヤカーを
引いて歩く・・・。

この痛々しさは何なんだ。いくらなんでも、自治体の観光キャラクターとしては
ひどすぎるぞ。

夕張の惨状をこの夫婦に投影して、「金はないけど愛はある」というキャッチ
コピーでPRしようと言い出したのは、東京にある外資系広告制作会社の
「ビーコン・コミュニケーションズ」。

同社のような中堅制作会社は大手の電通、博報堂などと比べて知名度も
営業力も弱い。どこかで大きな広告キャンペーンを成功させ、一気に知名度を
上げて、クライアント獲得競争に勝ち残りたい。
そこで目をつけたのが、財政破綻した夕張の観光キャンペーンでした。

夕張市長は「どんなに自虐的な表現でも、それこそが真実の自分たちの姿
なのだから、見栄を張っても仕方ない。タダでPRしてくれるなら任せてみよう」と、
ワラにもすがる思いで了解したのだとか。

当然のこと、ポスターの印刷費も出なければ、CDの録音費も出ません。
デザインは自分たちで作成、テーマソングは島田夫妻にギャラなしで歌って
もらい、知人の音楽制作会社が無償でCDを作るなど、友人・知人のネットワークで
すべて賄ったそうです。そのほかスタッフが何度も東京と夕張を往復した交通費も
ぜんぶビーコン持ち。

結局、印刷費や交通費で300万円から400万円かかったそうですが、広告の売上
としては一銭にもなりません。
けれども実は、ビーコンはこのキャンペーンで儲けようとしたわけでなく、これを
を仕掛けることによるマスコミの露出効果に対して、投資をしたわけですね。

結果的に、テレビでは全国放送で20回以上このキャンペーンが放映され、新聞
でも百紙近くが記事を掲載しました。この放映・掲載をすべて広告で行うとすると、
少なくとも数億円規模にはなると思います。

つまり、このキャンペーンは「夕張を応援する」というタテマエでもって、ビーコンが
自分たちの企業のPRのために仕掛けた大規模な「ニュースづくり」だったというのが
本当のところです。
これから先、ビーコンの名前を知らないクライアントでも「夕張夫妻のキャンペーンを
仕掛けた会社」と胸を張って言える実績ができたわけで、その意味では300万円や
400万円は安いもの。

でも、普通の広告会社にはこういう真似はできそうにありませんね。

ビーコンが外資系であり、フランス人の社長がPRの効能と影響力をきちんと
認識していたからこそできた、大英断だと思います。
一般の広告会社からすればうらやましい話ではないでしょうか。

では、夕張の観光キャンペーンがその後どうなったかと言うと、たとえばこの春、
本州各地で花粉症が蔓延する中、「スギ花粉のない夕張で過ごしませんか」と
いう「スギ花粉 北海道リトリートツアー」が人気だそうです。

北海道ならではの着眼点で、ニュースになる観光プログラムをつくり、発信していく。
これも今回のキャンペーンで培われたノウハウのひとつでしょう。

夕張にとってまだまだ先は見えませんが、「金がなければ知恵を出せ」という
ことで、夕張の方々には絶えずニュースを作って発信していくPRの手法を継続して
いただきたいと思います。

「もう後がないのよ ただ先だけがある・・・・」
夕張にももうすぐ 春がやってきます。

投稿者 prism : 2008年03月13日 23:26

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