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ワールドトレードセンターとスターバックスの評判

ニューヨークの同時多発テロから5年。
この10月、事件を題材に「ワールド・トレード・センター」の映画が公開されるそうです。
オリバー・ストーン監督がこの実話をどのようにリアルに描くのか、ぜひ見てみたい
映画です。

こうしてアメリカでは、あの事件をいつまでも記憶にとどめようという取り組みが
続いているようですね。

そんな中、この日をきっかけに思わぬ窮地に陥ったというある有名企業の話を本で
読みました。実は私も知らなかったし、あまり広く知られていないのではないかと
思いますので、ご紹介します。

その企業は「スターバックス」。スターバックスといえば皆さんご存知、世界のコーヒ-
ファンに愛されているおしゃれなカフェですね。ブランド戦略の教科書に必ず出てくる
ほど巧みなPRで、ブランド価値の高さでは世界トップクラスといわれる優良会社です。

そのスターバックスがなぜ窮地に陥ったのか。「レピュテーション・マネジメント」
(ロナルド・J・オルソップ著、日本実業出版社)に書かれた内容によりますと・・・

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同時多発テロが起きたその日、現場で懸命の救出作業をしていた救急隊員が、
最寄りのスターバックスの店舗に駆け込んで、水のボトルを求めた。すると、店員が
その水の代金を要求したという。

「テロ現場で救助を待っている人のために水を求めた救急隊員に、スターバックスが
130ドルを請求した」という話は、数時間のうちにインターネットに流れて、Eメールや
チャットを通して全米に広まった。

「救急隊員に代金を払えなんて信じられない」「非常事態に水さえ無料で提供しよう
としない会社はふざけている」「こんな非常時に儲けようとする会社なんて」など、
スターバックスを非難するメールが全米で飛び交い、一気に不買運動に発展した。

もともとは、店頭にいた社員ひとりの軽率な対応がきっかけだったが、これによって
スターバックスは突如として全米を敵に回し、それまで築いてきたブランドイメージ
に一気に泥を塗ることになった。

また、これに輪をかけたのが、スターバックス社の経営陣の反応があまりに
鈍かったこと。数日たって謝罪し、130ドルをレスキュー会社に払い戻したが、
その後のプレスリリースで保身と取られるような釈明をしたことで、「対応が
あまりにも遅くて弁解がましい」としてさらに反感を買った。

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著者のオルソップ氏は「スターバックスはそれまで、最も働きやすい会社として
アメリカでも評判が非常に高く、現場で働く社員が企業ブランドの代表者である
ことを認識していたはず。
それにも関わらず、アメリカ史上最大の悲劇の中で、大失敗を犯してしまった。
このことは、単なる一店員の判断ミスというだけでなく、同社に社会的責任の理念が
欠如していたことを示している。スターバックスの本社は自社の評判の高さを
過大評価し、インターネットや口コミの力を過小評価していた」と書いています。

情報が光の速度で全世界を飛び交う今の時代、ほんのささいな出来事が発端と
なって企業がダメージを受ける可能性が大きいのです。小さな事件が世間に
知れ渡る前に対処して、問題にならないうちにリスクの芽を摘み取れればいいの
ですが、今はどんなに企業が努力しても、情報拡散の早さには対処しきれません。
まさに「悪事千里を走る」ですね。

そうして対応が後手に回ったり、言い訳や保身が見え隠れしたりすると、ブログや
2ちゃんねる、SNSなどあらゆる方面から容赦ないバッシングが浴びせられて、
立ち直れなくなってしまいます。

幸い、この騒ぎはやがて沈静化し、スターバックスのブランド価値は相変わらず高い
位置をキープしています。でも、いつまた、どんなきっかけでそのブランドが窮地に
立たされるかも知れません。

このエピソードは、つい最近のパロマ工業のガス中毒事件を思い出させます。
対応の遅さ、言い訳、責任転嫁・・・。あまりにもお粗末な対応で、名古屋の老舗
企業の評判が一気に地に落ちてしまいました。

皆様の会社でも、「うちは評判がいいから」「ブランド力があるから」とタカをくくって
いると、何かのミスやトラブルが火種となって、ネット上で炎上してしまうことに
なりかねません。

言えることは、社員の行いが会社の評判に与える影響は計り知れないほど大きい、
そして、評判は非常にもろいもので、築き上げた評判を守るためにはどんなに用心
しても用心しすぎることはない、ということです。

投稿者 prism : 2006年10月02日 21:56

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